念珠は数珠(じゅず)ともいい、今日でも法事の際に一般的に用いられる仏具である。もともとは珠を一定の数(108顆<か>を基本とする)だけ紐に通して、称名(しょうみょう)や陀羅尼(だらに)などを読誦(どくじゅ)する際に、その数を記すのに用いられた。N-287・N-288の2連の念珠は、鎌倉時代の顕真(けんしん)筆『古今目録抄』や天文19年(1550)校合の『御舎利殿宝物註文(おんしゃりでんほうもつちゅうもん)』に舎利殿安置の宝物の1つとして記されるものにあたるとみなされる。N-287には鎌倉時代の牡丹猫文彩漆合子(ぼたんねこもんさいしつごうす)が、N-288には江戸時代の蓮華草文金銅合子(れんげからくさもんこんどうごうす)が付属している。
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