手捏ねの素焼で、円筒状長めの身に、蓋は深めの鉢形をした、被蓋造りの経筒である。身の表面と内側の上部にかけて白色塗料が塗られ、身の表面には全面にわたり仏像を描き彩色を施したものである。現在中尊の一部と左脇侍の上半身を残すのみで、そのほかは明らかでない。なお、仏身、台座等には、金箔が押してあり、赤、緑などの彩色が加えられていた痕を残している。そのほかの部分にも、赤、緑などの色が残っている。蓋の彩色はほとんど洗い落とされているが、上面に赤色塗料が、内面に白色塗料がわずかに残っている。なお底裏面に下記の墨書銘がある。
父母而□□
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久安三年十月廿三日供養
如法経(以下不明)
(一行不明)
この経筒は、福岡県太宰府天満宮境内から出土したものである。
土製経筒は、京都鞍馬寺経塚出土のものなどがあるが、彩絵のあるものは、ほかに例がなく、久安3年(1147)と製作年が明らかな点において、経塚研究資料として貴重である。
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