重要文化財青磁鉢(小型)せいじはち(こがた)

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  • 高10.1 口径22.4
  • 南宋・13世紀
  • 東京国立博物館

昭和28年(1953)に、衣張山西麓の個人の家の庭から偶然に出土した。その時の話しによれば、表土下に板石があり、その下に大きな鉢が伏せられ、そのなかに小さい鉢2個が重ねて伏せられていたという。ほかには何も遺物がなく、出土状態が不明確で遺構の性格がはっきりしないのがおしまれる。
大型の鉢は、いわゆる天龍寺青磁の大鉢で、全体に黄緑色の釉がかかる。内面口縁部に雷文、底部中央に菊花形浮文を、その間は蓮弁で8つに区画してそれぞれに牡丹、蓮、菊、椿の花枝文を描く。外面は口縁部に波状文、その下に唐草文、高台周囲に蓮弁を描く。元時代(14世紀)の龍泉窯で焼かれたものである。このような大型の鉢は珍しい。
この大鉢の下から出土したのはいわゆる砧青磁の鉢である。2個ともほぼ同じ大きさで、口径22.4cm、22.5cm、高10.1cm、10.2cmを測る。外面に、蓮弁の中央に稜を作る鎬蓮弁文を刻む。南宋時代(13世紀)の龍泉窯の作品である。
この2種の鉢はいっしょに埋められていたが、同時に輸入されたものかどうかはわからない。このような優品がまとまってしかも完形で出土するのは、鎌倉という土地ならではであろう。

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