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時宗(じしゅう)の開祖一遍の生涯を描いた絵巻。「一遍聖絵(ひじりえ)」とも呼ばれる。正安1年(1299)に一遍の高弟聖戒(しょうかい)が選述し、法眼円伊が描いた。13歳で出家した一遍は、諸国を遊行(ゆぎょう)して念仏布教の生涯を送り、時宗を確立した。
絵巻にはめずらしい絹本を用い、画面には一遍の行状とともに各地の情景が展開される。人物を小さく描き、背景の寺社や山水の描写に大きな比重を置くなど、名所絵のような性格をもっている。やまと絵本来の手法を基調としながら、山水の構図、樹木や岩石などの描法には宋画の影響も見られる作品。巻第七は、弘安7年(1284)、大津の関寺(せきでら)、京都の四条道場、市屋道場などを巡りながら、念仏を唱え、札を配って布教するようすが描かれる。
京都の歓喜光寺に伝来した全12巻の一部が江戸時代後期に流出し、巻第七は原三溪らの所蔵を経て、第2次大戦後、東京国立博物館に収蔵された。
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