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もと、「夏冬山水」として京都の曼殊院(まんしゅいん)に伝来した「秋景山水図」「冬景山水図」。四季山水図4幅対のうちの2幅とも考えられる。雪舟(1420-1506?)は、周文(しゅうぶん)や如拙(じょせつ)、南宋の諸大家、明代の浙派(せっぱ)など、さまざまな様式を学んだが、両図の安定感のある構図や力強い筆致は、雪舟独特の作風を示している。
「秋景」では、画面左下から水の流れに沿って道をくねらせ、途中、語り合う2人の人物を点景におき、さらに楼閣、遠山と、手堅く奥行きが表されている。モチーフを下に集め、画面上部がどこまでも広がる空間となっており、「冬景」とは対照的である。
一方、「冬景」では、雪におおわれた断崖が中央にそびえ、舟から降りた人物が楼閣に向かって歩んでいる。オーバーハングする断崖の力強い輪郭線、冬枯れの樹木がきびしい寒さを感じさせる。画面左下すみから、反時計回りに岩や山を螺旋状に配置する構図は、人為的な構築性を強く感じさせる。強い筆墨の調子とあいまって、画面空間には意図的に奥行きが排されている。
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