重要文化財日本国図にほんこくず

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  • 北海道:161.4×178.1/本州東部:250.0×163.0/西南部:206.6×162.6
  • 江戸時代・19世紀
  • 東京国立博物館
  • A-9349

伊能忠敬(1745-1818)とそのグループが作成した日本地図は伊能図の名称でよばれている。その伊能図は大図(縮尺1:36000)、中図(縮尺1:216000)、小図(縮尺1:432000)と3種類作成された。本図はその小図。古くから東京国立博物館に収蔵されていたが、2002年度に初めて伊能小図と確認された。小図は蝦夷地、本州東部、本州西部・四国・九州の3地域からなり、日本では神戸市立博物館所蔵本などが知られていたが、3地域揃っているのは現在のところ本図のみである。針突法(しんとつほう)を用い、経度の初度(中度)を京都にとっている。「昌平坂学問所」の朱印がある。

1-1蝦夷地
蝦夷地は北海道島のこと。本図は渡島(おしま)半島の南部を欠き、クナシリ島、樺太南部の白主岬までを描き、利尻、礼文などの島嶼部(とうしょぶ)および山岳は方角線のみ。クナシリ島西部および知床半島北部の一部と渡島半島東部の一部は未測量。経度は東4度から東12度まで、緯度は42度から46度までを引く。地図下部にほかの地図と接合(接壌という)のための合印としてのコンパスローズ(方位盤)の北半分が2個描かれている。蝦夷地の北部は間宮林蔵(まみやりんぞう)(1780~1844)の測量に基づく。

1-2本州東部
渡島半島南部から近畿地方までを描く。蝦夷地とは異なり、沿岸だけではなく街道筋などの内陸、佐渡、伊豆七島などの島嶼部もきちんと測量する。経度は最西端の中度から東7度まで、緯度は31度から41度までを引く。合印としての方位盤が図上部に2個、西に2個描かれている。図中央には虫損がある。

1-3本州西部・四国・九州
近畿地方西部から中国、四国、九州と隠岐、対馬、壱岐、五島、天草、種子島、屋久島などの島嶼部を描き、朝鮮とトカラ列島の一部などを方角線で結ぶ。経度は西1度から西7度まで、緯度は30度から37度までを引く。図幅東側に合印としての方位盤が2個おかれている。

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