重要文化財白磁蝶牡丹浮文大瓶はくじちょうぼたんうきもんたいへい

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  • (指定名称)白磁蝶牡丹浮文大瓶[一口]
  • 三代清風与平作 (せいふうよへい)
  • 1口
  • 高38.2 口径13.6 底径13.9
  • 明治25年(1892)
  • 東京国立博物館
  • G-124

 三代清風与平(1851~1914)は、京都で活躍した陶工。明治26年(1893)、陶磁分野で初めての帝室技芸員に任命された。丸山派の絵師岡田良平の次男として生まれ、絵を得意とし、大坂で田能村直入に入門した。15歳のとき、京都の五条坂の陶家である清風家の養子となって二代に弟子入り。明治11年(1878)に二代が病没したのにともない、三代を襲いだ。中国清時代の磁器に範を求めた作陶に取り組み、独自の釉技や表現を生み出した。
 本作品も、三代が明治5年に開発した「太白磁瑍白釉ノ製土及ヒ浮起紋彫刻ノ製法」によるもの。牡丹の花がめぐらされ、そのまわりを蝶が舞う様子が浮き彫りで表わされ、そこに三代独特の白釉がかけられている。柔らかな白い釉の下から浮き彫り表現が浮かび上がる姿は、中国の白磁に遜色なく、また異なった独自の風韻をまとっている。明治26年(1893)のシカゴ・コロンブス世界博覧会開催に合わせ、博覧会事務局からの依頼を受けて制作され、出品された。この博覧会では、工芸を美術に内包して世界に向けて発信することが意図されたが、そこで本作は好評を得、ヨーロッパ向けの輸出に主眼を置いた産業品とは一線を画す、日本の陶磁作品の新たな方向性を示した。平成29年重要文化財に指定。

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