重要文化財かたな

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  • (指定名称)刀〈無銘伝当麻/〉
  • 伝当麻 (たいま)
  • 1口
  • 鉄製
  • 刃長65.0 反り2.2 柄長22.8 鞘長70.2
  • (刀身)鎌倉時代・13世紀 (刀装)江戸~明治時代・19世紀
  • 東京国立博物館
  • F-20203-1

 当麻(たいま)派は、奈良・当麻寺に関係があるとされる刀剣の一派で、祖の国行は正応年間(1288~93)の人という。同派の在銘作品は極めて少なく、ほとんどが後世に一派の作と極められた無銘の刀剣であり、さらに在銘作品と無銘作品には作風の違いがある。
 この刀は、鎬(しのぎ)幅が広く厚みがあって大和鍛冶の作風を示し、反りや鋒(きっさき)の形状から鎌倉時代末期のものととらえられる。地鉄(じがね)は、大和鍛冶の作品によくみる柾目にはならず、むしろ細かい地沸(じにえ)が密につく。刃文(はもん)は直刃(すぐは)を焼いて一見地味であるが、刃中の働きに富む。
 元禄16年(1703)5月、本阿弥(ほんあみ)宗家第十三代光忠(こうちゅう)による代千貫の折紙が付属し、茎(なかご)の金象嵌の和歌「雪深き 山もかすみて ほのぼのと 明け行く春の 当麻路(あるいは「寺」)の空」は、幕末から明治時代の武士、政治家であった大久保忠寛(ただひろ)(一翁〈いちおう〉、1817~88)によるものである。付属の朱筋溜塗打刀(しゅすじためぬりのうちがたな)には高度な漆芸技法がみられ、一翁が製作させたものと伝える。

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