「アジア航海図」と呼ばれる一連の図は、16~17世紀の日本人がアジア諸地域に渡航するために、ヨーロッパ製ポルトラーノ型の海図を参考にしながら、独自に作成した海図である。このアジア航海図は、日本・朝鮮半島から中国・東南アジア・インド洋海域・アフリカ東岸部までを描く。日本は「九州」「四国」「京」「駿河」「江戸」「奥洲」などの地名がみえ、「ゑぞ」がかなり大きな島として描かれている。九州から琉球にかけての地名は特に詳しい。現存するアジア航海図の多くは江戸時代前期の朱印船貿易を行った家に伝わっているが、本図は長崎奉行所に伝来したものと推定されている。