重要文化財金熨斗刻鞘大小拵きんのしきざみさやだいしょうこしらえ

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  • (指定名称)金熨斗刻鞘大小拵
  • 1腰
  • (大)柄:全打出鮫着せの上に、金茶色で菱巻き。縁は赤銅素文、頭は銀地に唐草文毛彫。目貫は、仙人図を赤銅容彫し、一部に金色絵。鞘:印籠刻、腰元を緑漆塗、折金付近から尻側へ斜めに金薄板で包む。栗形と折金は金、裏瓦は金鑢地。割香箸は銀。小柄は銀で印籠刻、両端に覆輪をかけ、頭に猪目透、これに鋸が付く。鐔:丸形で、金着せ。杵形を透彫(本体と別置)。
    (小)柄:金打出鮫着せ、縁・頭は金地に唐草文を毛彫。後者は山路形。目貫は武者図を赤銅容彫し、一部金色絵。鞘:印籠刻、腰元を緑漆塗、折金付近から尻側へ斜めに金薄板で包む。栗形、折金、裏瓦は角製。小柄は金地に騎馬人物図を毛彫、刀子には「備前長船晃光」とある。下緒は大小共、金茶。鐔:菊花形、金着せ。
  • 江戸時代・17世紀
  • 京都国立博物館
  • E甲479

 印籠風の俵型の模様を一定の幅で刻んだ、いわゆる「印籠刻」の鞘で、腰元は緑色の青漆を塗り、先に金の薄板を薄く延ばした熨斗板(のしいた)を張り「金熨斗」としている。大小はそれぞれの柄の作りや、金熨斗の青漆の色合い、金熨斗の削ぎ方が逆であることなど、やや統一を欠くところもあるが、大きく時代を隔てる要素は看取されない。豪壮な印象を与える印籠刻や、渋めの緑色とあざやかな金色を片身替りに対比させた意匠など、桃山の雰囲気を色濃く残す一方で、彫金には一種の洗練がうかがわれ、桃山様式を示す江戸時代前期の作とみなされる。
 本作はかつて筑後柳川藩初代藩主、立花宗茂(1567~1642)の指料であったと伝えられており、古来より有名な作品である。立花家の江戸時代の刀剣台帳にも、本件に該当すると見られる拵の記述があることが確認されている。昭和20年代までは同家に伝来していたが、その後、大阪のコレクターである永藤一の所有となった。

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