重要文化財東京都野毛大塚古墳出土品

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  • (指定名称)東京都野毛大塚古墳出土品
  • 東京都世田谷区野毛大塚古墳出土
  • 一括
  • 古墳時代・5世紀
  • 東京国立博物館
  • J-299, J-487 ~507, J-512, J-523, J-524, J-528 ~531, J-537, J-538, J-2490 ~2502

 東京都世田谷区に所在する野毛大塚古墳は、古墳時代中期(5世紀)に築造された全長82mの帆立貝形古墳である。墳頂には4つの埋葬施設があり、明治30年(1897)に箱形石棺(第2主体部)が発掘され、その時の出土品が東京国立博物館に所蔵されている。
 第2主体部からは、武器(鉄刀と鉄剣)、装身具(瑪瑙勾玉、碧玉管玉、ガラス小玉)のほかに、多種多様な滑石製模造品が出土した。滑石製模造品の内、滑石製槽は水を濾過する導水施設の中心部である木製の槽を、実物より小さくして滑石でつくった祭具である。滑石製下駄は、木製の下駄を模造したものであり、槽で清められた水を汚さないようにするために、祭祀の執行者が下駄を履いたとする説がある。滑石製坩や滑石製皿は、祭祀の際に、飲食物を入れた土器や木器をモデルとしたものである。このような水の祭祀にかかわる滑石製模造品は、出土例が少なく貴重である。
 このほか、農工具の滑石製模造品も出土している。滑石製斧と滑石製鎌は、柄を抜いた状態の斧や鎌の鉄製刃先を参考に作成し、滑石製刀子は革製の鞘に納めた鉄製刀子がモデルである。鉄製の鎌は農具として、斧や刀子は工具として主に利用されてきたので、古墳時代の首長がこれら生産に関わる祭具を滑石でつくらせ、農業生産や手工業生産の繁栄を願ったのかもしれない。なお、滑石製刀子は232点以上出土しており、一つの埋葬施設内からの出土量としては東日本最大である。

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