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平安時代の『万葉集』書写本のうち、「桂本」「藍紙本」「金沢本」「天治本」とともに「五大万葉集」と呼ばれる。「元暦校本」というのは、巻第20に元暦元年(1184)に校合(きょうごう)したという奥書があることによる。これらの中でもっとも歌の数が多いこと、能書による寄合書(よりあいがき)になることなどから、特に重要視される写本である。
紫と藍の飛雲(とびくも)をすき込んだ鳥の子紙に淡墨の罫線を引き、万葉仮名と仮名とで書かれる。巻第一は、「三跡」(さんせき)の1人で和様の書を完成した藤原行成(ふじわらのゆきなり)の筆として伝来したが、書風からそれより下る平安時代後期の筆跡と考えられる。
もと伊勢松阪の中川浄宇(なかがわじょうう)の所蔵であったが、有栖川宮家を経て、高松宮家に6冊、桑名藩松平家、老中水野忠邦を経て古河家に14冊がそれぞれ分かれて伝来した。
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