重要文化財法花蓮鷺文有蓋壺ほうかれんろもんゆうがいこ

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  • (指定名称)磁製法花蓮鷺文壺
  • 中国・景徳鎮窯
  • 1合
  • 磁器
  • 口径20.0 胴径34.6 底径21.9 総高47.5
  • 中国・明時代 15~16世紀
  • 九州国立博物館
  • G122

 中国・明時代に焼成された法花壺。地には藍釉を用い、胴部に、蓮華文を中心に波濤文と白鷺文をあらわす。蓮華文の花など、文様の一部に白檀塗りを施す。法花は三彩の一種で、粘性のない鉛を主成分とする三彩釉が混合するのを防ぐために、器面に文様の輪郭を堆線文(盛り上げ線)で境界線を作ってあらわしたもので、各区画に塗り分けられた紫・青・緑・白などの鮮やかな色釉が特徴である。
 技法の成立については、山西省一帯で建築装飾用の三彩の生産が盛んであることから、その関連性が推測されており、一方、銅胎七宝との関連性も指摘されている。また、本作品の一部に用いられている白檀塗り(金(銀)箔または金(銀)泥を塗り、その上に飴色の透漆を塗る技法)は、交趾三彩によく用いられた技法であるが、関連性については不明である。陶胎と磁胎の二種に分けられ、後者は、15世紀から16世紀前半に景徳鎮窯の民窯で盛んに生産された。
 法花は、わが国に伝世した中国陶磁のなかでは比較的点数が少なく、稀少な作品として主に上層階級の間で大切に受け継がれてきた。伝世品では、鹿苑寺所蔵の「法花蓮花文水指」や、東京国立博物館所蔵で江戸幕府重臣青山家伝来品である「法花騎馬人物図壺」などが知られる。
 本作品は、昭和11年(1936)に旧国宝、昭和25年(1950)に重要文化財の指定を受けている。昭和9年4月5日大阪美術倶楽部で開催された藤田香雪斎の売立に出品されており、その図録の250番に「交趾共蓋五彩蓮鷺色絵壺花入」と記載されている(『香雪斎蔵品展覧図録』 大阪美術倶楽部 昭和9年4月5日)。この売立で池戸宗三郎(高山堂)が落札し、以後、冨田熊作―戸田大三―繭山順吉(繭山龍泉堂)などの手を経ている。
 法花で重要文化財の指定を受けているのは、本作品と大阪市立東洋陶磁美術館所蔵の「法花花鳥文壺」(昭和47年5月30日指定)のみである。著名な近代数寄者・古美術商の間でも高い評価を受けてきた法花の名品といえよう。

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