重要文化財法華経冊子ほけきょうさっし

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  • (指定名称)彩牋絵料紙墨書法華経〈巻第五/〉
  • 1帖
  • 彩牋著色墨書
  • 18.1cm×11.2cm
  • 平安時代・11~12世紀
  • 京都国立博物館
  • A甲1740

 『法華経』巻第五を華麗な料紙に書写した冊子。もとは粘葉装であったが、現状は綴葉装となっている。料紙は北宋舶来と考えられる唐紙を用いており、多くは縹・黄・白などの具引き地に、唐草文や花菱文などが雲母摺りされている。これらの料紙装飾の様式からみて、成立が11世紀後半に遡る可能性も指摘されている。また、宮廷風俗や女性を描く下絵が6図含まれている。各図の主題は歌絵か物語絵かなども含め明らかでないものの、人物表現について12世紀の「源氏物語絵巻」(徳川美術館蔵・五島美術館蔵)や「扇面法華経冊子」(四天王寺蔵)より古様なものと位置づける見解が示されている。いずれにせよ、我が国の世俗画として現存最古級の貴重なもので、平安貴族の法華経信仰と高度な美意識が結合した装飾経の優品といえよう。箱書や付属文書では、平清盛や、絵が得意であったというその娘の作とみなしているが、その伝承の由来は不明である。同時代の類品として『観普賢経冊子』(五島美術館蔵)などが知られる。

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