重要文化財金銅錫杖頭こんどうしゃくじょうとう

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  • (指定名称)金銅錫杖頭
  • 1柄
  • 銅・鋳造、鍍金
  • 高19.8cm 輪径8.6cm
  • 鎌倉時代・13世紀
  • 京都国立博物館
  • E甲329

 錫杖とは、僧が持つべき18種の仏具のうちのひとつで、輪状になった金属製の頭部に数個の金属製遊鐶を通して穂部に柄を連結させた杖である。杖を突いて歩行したり、振動させたりすることで遊鐶が音を発し、遊行の道中、蛇や獣を避ける効果があるとされる。また妙音によって修行者の煩悩を打破し、仏性の目覚めを促すという効果もそなえる。
 この錫杖頭は鎌倉時代の典型的な作行を示すもので、左右各二ヶ所に括りをつけた輪を持ち、輪頂にもうけた蕨手の間に宝珠を奉安し、上段の括りに雲に乗った塔形をたて、下段の括り近くに三日月形の金剛牙をあらわす。輪の下端の蕨手間には五輪塔を据え、蕨手上に浄瓶を置く。左右2個ずつ残存する遊鐶は断面菱形の銅線を屈曲させて独特の木瓜形とするが端部は接合されない。穂部は蓮弁を断面円形の二条線で扼した四節からなり、それぞれの節中の表現を全く違える点が特徴的である。また、特筆すべき作例として、本品と遊鐶の数や細部表現まで酷似する「金銅錫杖頭」がMOA美術館に収蔵されており、これは両者が同一工房で極めて近しい時期に製作された可能性を示唆する。鋳出と彫金の仕上がりは精緻を極め、この作行の健全さに加えて、鎌倉時代における仏具工房の実態を想像させる重要作品である。

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