重要文化財旧帝国京都博物館建築資料きゅうていこくきょうとはくぶつかんけんちくしりょう

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  • 片山東熊 ほか (かたやまとうくま ほか)
  • 1括
  • 明治時代・19世紀
  • 京都国立博物館
  • D甲6

 帝国京都博物館は、京都に伝来する美術の保存を目的として、明治22年(1889)に設置された。本館と表門を中心とする建築は、宮内省の内匠寮が担当し、明治25年に起工、28年に竣工している。
 本館は、東山を背景とし、正面には庭園をはさんで表門、その先に京都の町並みを望む。平面は東山から翔つ鳳凰の意匠。中央正面と翼部の角に大小七つのドーム屋根を載せ、その下は古器物室、それをつなぐ九つの翼廊は絵画室とし、列柱で荘厳した彫刻室を中央奥に設ける。
 外観も空間構成も、17世紀ヨーロッパ宮廷建築の華麗なバロック様式を写しているが、形、色、肌合い、大きさ、そのどれもが日本の伝統を感じさせ、京都の自然に溶け込んでいる。
 設計者の片山東熊は、コンドルに学んだ工部大学校造家学科の第一期生。奈良国立博物館本館、明治建築の記念碑というべき赤坂離宮も彼の作品である。
 本館の建築は、ガラス屋根による採光をはじめ、火災と地震に耐える堅牢な構造、地形に応じた湿気対策など、美術博物館施設として当時最高の水準を誇る。施工には、棟札に銘記される全国の工匠技術が結集された。120年を経た現在、建築それ自体が美術作品としての輝きを増しつつある。
 この旧本館の明治時代の設計図面多数と小屋組模型、彫刻装飾模型などが建築物としての本館建物の附属品として合わせて重要文化財の指定を受けている。

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