童子形像の一例で、全体に大ぶりの装飾が施されている。48体仏中には童子形像の代表例が他に4例あり、これらは法隆寺金堂天蓋の飛天、同寺の「六観音」と呼ばれる諸像、奈良・金竜寺の木造聖観音像等と同一系統といえる。特に、これら諸像のうち菩薩像の台座に表わされる蓮弁の形(複弁で子弁が扁平である)が再建期法隆寺の瓦の蓮花文と類似しており、童子形像と同期の法隆寺との深い関係が想定される。
本体・台座を含むほぼ一鋳で造るが、頭部や右肩、背面の裙裾部を鋳損じたため鋳懸けを行っている。本来、頭部まで内部を中空とするが、現状、頭部内には鋳懸けの際の鎔銅が流れ込み、中型土も残存している。銅厚は鋳懸け部を除く個所では全体にほぼ均一で、比較的厚手である。腹部と腰部背面に方形の型持を設ける。鬆は髻や鋳賭け部に多くみられるが、他は全体に少ない。各装身具の連珠を魚々子タガネで表わす。頭飾の裏面、頭髪、裙、台座を除く個所に鍍金が残る。彩色は頭髪に群青と緑青、頭飾の裏面に朱(以下朱についてはベンガラの可能性がある)、裙の表に緑青、裏に朱、同折り返しに丹、蓮肉及び各蓮弁に緑青、仰蓮の子弁と間弁に丹、反花の子弁と間弁朱等が認められる。なお、左手から垂下する天衣下方部に横に大きな亀裂がある。