大きな頭部、太づくりの体軀など重量感あふれる像である。
本体・台座を含む一鋳で造り、頭部まで内部を中空とするが、現在、榻座の括り紐より上部に中型土が残存している。銅厚は比較的厚手で、全体にほぼ均一である。像内には頭部から榻座部の半ばにかけて鉄心(断面は方形)が残るが、この鉄心は頭体の姿勢に沿って曲がり、下方にかけて徐々に太くなっている。胸部、腹部、右膝下、左脛の左方部、背中、榻座部背面の各所に方形の型持を設ける。全体に細かな鬆があり、特に榻座以下に大きなものもみられるが、鋳上がりは良好である。頭飾の裏面を除くほぼ全面に鍍金が残り、彩色は頭髪の一部に群青、唇のごく一部に朱(あるいはベンガラか)が認められる。また、台脚部から反花にかけての内部に朱(あるいはベンガラか)が認められる。また、台脚部から反花にかけての内部に朱(あるいはベンガラか)が塗られている。
本像と類似する作風の像としては、N-164、N-172、法隆寺観音菩薩立像(伝金堂阿弥陀如来脇侍)などがあり、いずれも像内に太い鉄心を残す技法も共通する。また、法隆寺伝来の押出仏中にも顔立ちのよく似た菩薩像が見出され(例えばN-198、N-206など)、これらは、法隆寺またはその周辺で活躍した一連の仏師たちによって制作されたものと考えられる。