重要文化財沈水香じんすいこう

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  • (指定名称)沈水香
  • 1材
  • 沈香材
  • 長98.8
  • 飛鳥~奈良時代・7~8世紀
  • 東京国立博物館
  • N-114

栴檀香(N-112)と白檀香(N-113)はともに柱状で、沈水香(N-114)は盤根状を呈している。香木は熱帯アジアに産するものが多く、したがって舶載品として珍重され、いまなお薫香・組香の料として貴重視される。『日本書紀』によれば、推古天皇のころ淡路島へ沈木が漂着し、それを朝廷に献上したのが嗃矢と伝えられている。その後仏教の隆盛に伴い、大陸からわが国へ各種の香木が輸入され、今日正倉院宝物中に多くの香木が納められている。『法隆寺 伽藍縁起并流記資財帳』には、また「合香壹10陸種 丈六分肆種薫陸香168両寺買 沈水香10両 浅香385両 薫陸香46両 青木香卌八両 右天平8年歳次丙子2月22日 納賜平城宮皇后宮者、仏分壹拾種 白檀香四百七両 沈水香八十六両 浅香403両2分 丁子香84両 安息香70両2分 熏陸香511両 甘松香96両 楓香96両 蘇合香12両 青木香281両 聖僧分白檀香肆佰玖拾陸両 塔分白檀香壹佰陸拾両 右天平6年歳次甲戌2月 納賜平城宮皇后宮者」とあり、各種の香木がみえている。
香木は当時仏前に焚き供養の料として用いられていたが、また箱類・刀子の柄や梢・経筒・筆管などの各種の工芸材料としても、防虫などのことをも兼ねて使用されている。すなわち正倉院宝物に、沈水香画双六局・白檀八角箱・沈香把鞘刀子・沈香末塗経筒・末造了沈香木画筆管などの作例が知られる。この献納宝物中にもまた、木画箱・木画経箱・細字法華経々筒・玉荘箱・刀子などに、香木の使用がみられる。なお水に沈むものを沈水香、沈まぬものを浅水香と称するという。
栴檀香には「延暦20年定5斤」「更定24斤 天應2年2月3日」「明治11年4月切取」の墨書銘、他に不明文の焼印1顆がある。白檀香には「更定重12斤8両 字5年3月4日」「白檀延暦20年定13斤」「葛4斤9両」「明治11年4月9日切取」「塔」「寺」などの墨書銘、他に同じく不明文の焼印1顆がみられる。また沈水香にも、「明治11年4月9日切取」の墨書がある。

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