重要文化財陣羽織 猩々緋羅紗地違鎌文じんばおり しょうじょうひらしゃじちがいかまもん

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  • (指定名称)緋地羅紗違鎌文陣羽織
  • 1領
  • 裄52.0丈76.6
  • 安土桃山時代・16世紀
  • 東京国立博物館
  • I-393

 豊臣秀吉に仕えながら、関ヶ原の戦いで徳川家康に味方した小早川秀秋(1582〜1602)が着ていたと伝えられる陣羽織。中国のお酒好きの妖精・猩々のように赤いと形容された真っ赤な羅紗は、遠くヨーロッパから日本に舶載された、当時流行の素材。その華やかな赤地の背中には、大きな鎌を斜め十字に交えた大胆な模様を、白と黒の羅紗で切り嵌めにしている。鎌の柄に赤い羅紗で小さく切り嵌めされたハート型の模様は日本では「猪目」と呼ばれる。一方、前身頃を合わせる部分は、菊斜文模様錦で鳥居をデザインし、西洋の服飾に見られるような赤い小さなボタンでとめる仕組みになっている。陣羽織は戦場で鎧の上に着用する。鳥居は、命危うい戦場での神の御利益を願ってデザインされたのであろう。そのようなおまじないは、裏地にも見ることができる。前のあわせを開いてみると、裏地の背中部分に青緑の絹糸で大きく、丸に「永」の文字を刺繍している。命が永らえることを祈ったのではないであろうか。裏地には洋風の植物文などをあしらった白地の緞子。南蛮船が日本へもたらしたヨーロッパ産の珍しい裂を、桃山時代の武将たちが愛用したことを物語っている。

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