重要文化財日光菩薩坐像にっこうぼさつざぞう

画像を保存する

image 全画面表示
  • (指定名称)乾漆造日光菩薩半跏像
  • 1躯
  • 木心乾漆造、漆箔
  • 高56.1
  • 奈良時代・8世紀
  • 東京国立博物館
  • C-218

東京芸術大学保管月光(げっこう)菩薩像とともに、もとは京都・高山寺(こうざんじ)蔵薬師如来像と一具をなしていた。これらは京都府亀岡市・金輪寺(きんりんじ)の旧像と伝える。右方へ首を傾け、左脚を踏み下げる形姿から左脇侍(きょうじ)であったことがわかる。
木心乾漆(もくしんかんしつ)造の像で、その構造の概略はX線撮影によって明らかにされている。それによれば、木心は檜と思われ、頭・体の幹部は2材を前後に矧(は)ぎ、その中央部を空洞にする。背面材下部は左右に張り出して両腰脇の三角形の部分を造るとともに、前方にも張り出してここに前面材をのせ、さらに脚部の横木を矧ぐ。脚部材は底面からわずかに刳(く)りをほどこす。髻(もとどり)は別材製か。左腕は肩・肘(ひじ)・前膊(ぜんはく)半ばで矧ぐ(その先亡失)。右腕は肩・肘・手首で矧ぐ。左脚踏み下げ部分と足先とを矧ぐ。像底は板貼りとする。耳垂部(じすいぶ)・指は銅線に紐を巻いて心とする。全面に布貼りし、天衣(てんね)遊離部や台座にかかる裳(も)先は布を心としている。これに木屎漆(こくそうるし)を盛り上げ、目鼻だち、肉身の起伏、衣文を塑形する。頭髪を白土地群青彩(ぐんじょうさい)、他の像表面を漆箔とするが、現在の漆箔は後補で、その下に当初の漆地が見える。なお台座は後補である。やや形式化して充実感に欠けるのは否めないが、整った顔だちや自然な肉どり・衣文表現など、本像の作風は8世紀半ば頃の東大寺法華堂諸像に見るような東大寺造仏所のそれに連なるもので、その構造技法とともに奈良時代末期の特色が顕著である。

部分一覧

読み込み中