国宝洛中洛外図屏風(舟木本)らくちゅうらくがいずびょうぶ ふなきぼん

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  • (指定名称)紙本金地著色洛中洛外図(岩佐勝以筆/六曲屏風)
  • 岩佐又兵衛筆 (いわさまたべえ)
  • 6曲1双
  • 紙本金地着色
  • 各162.7×342.4
  • 江戸時代・17世紀
  • 東京国立博物館
  • A-11168

 京の市中(洛中)と郊外(洛外)を鳥瞰して一望する洛中洛外図は、室町時代から江戸時代にかけて盛んに制作された。その多くは画面下側に、相国寺(しょうこくじ)など上京を中心に描き、その背景として画面上部に郊外の名所を配置して、都の中心から四周を見渡すように描いたものであった。
 この舟木本では東寺(とうじ)付近から北にある河原町あたりを眺め、鴨川の流れをはさんで、右の東山から左の二条城まで、下京あたりの光景を連続して描いている。右の屛風に豊臣秀吉が発願した大仏が安置された方広寺(ほうこうじ)を大きくとらえ、左に徳川将軍家を象徴する二条城の威容をあらわして、天下の趨勢が移り変わろうとする緊張感のある時代を描き出す。そのなかで祇園祭の神輿渡御(みこしとぎょ)は熱気にあふれ、六条三筋町(ろくじょうみすじまち)の花街の様相や四条河原の歌舞伎小屋などからは、人びとの喧騒が聞こえてくるほどである。
 作者である岩佐又兵衛(1578~1650)は後年、浮世絵師の祖とも称されたように、大坂の陣で豊臣家が滅亡する直前の京の姿を殺伐とした空気感のなか、浮世(現世)を謳歌する人びとの様子を描き切っている。
 昭和24年(1949)、滋賀県長浜の舟木家に所蔵されるこの屛風が美術史家源豊宗(みなもとのとよむね)氏によって見出されたのち、東京国立博物館が購入し、その翌年重要文化財に指定された。

(松嶋)
『国宝 東京国立博物館のすべて:東京国立博物館創立一五〇年記念 特別展』毎日新聞社他, 2022, p.281, no.18.

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