中国で製作され、奈良時代に伝来した七弦琴。桐材の本体に黒漆を塗る。日本の筝(こと)は13本の弦にそれぞれ琴柱(ことじ)を立て、1本の弦で一つの音を出すが、琴(きん)は1本1本の弦を指で押えて、高低さまざまな音を出す。琴の上面には、丸く切った貝13個を一列にはめ込んで、指で弦を押える場所を示す徽(き)が表されている。琴首の突起部、尾端部には紫檀の別材を用い、胴には縦長の響き孔が2か所ある。
胴の内部の「開元十二年歳在甲子 五月五日於九隴縣造」という墨書銘から中国・唐時代、玄宗皇帝が在位していた開元12年(724)に、四川省成都市に近い九隴県(きゅうろうけん)で製作されたことがあきらかで、製作年代と製作地がわかる最古の七弦琴である。