青銅鋳造の古代の銅印。つまみは撥形で上部に紐を通すための小さな孔が開いている。現在の秋田県に置かれた古代の城柵「秋田城」に付随する寺院である「四王寺」に伝来したとされる。江戸時代に京都に運ばれ、聖護院塔中の積善院に移され、その後、この印を本尊として「印鑰祭」という祭祀が行われていたという。印面には「四王寺印」の四文字が表されているが、その周囲の彫りは深い。また文字も古様を示している。おそらく蝋を原型とする失蝋法で鋳造されたのであろう。九世紀にさかのぼる古代銅印の伝世現存例として貴重な資料である。