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藍で漉染めした料紙に書かれていることから「藍紙本」の名で呼ばれる『万葉集』の古写本。全紙にわたり銀の揉み箔を撒(ま)く。
筆者は藤原行成の孫、藤原伊房(1030~1096)とする説が有力。伊房は速筆をもって知られ、この1巻も「始自九月十七日、至于廿日、写之了」という奥書からすれば、わずか4日間で書写し終えていたことになる。書風はいかにも早書きで、この時代にはめずらしく男性的な筆致を示す。
奈良時代に編纂された我が国最古の歌集『万葉集』は、平安時代末期まで30種以上の写本が伝来していたといわれる。しかし、現存する平安時代の『万葉集』の古写本は「藍紙本」以外には、「桂宮本」「元暦校本」「天治本」「金沢本」の4種類が残るのみ。きわめて貴重なこれら5種類の古写本は、現在、合わせて「五大万葉集」の名で呼ばれている。
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