本図は渓流の岸辺の双松の下で睡る豊干禅師と虎、寒山(かんざん)、拾得(じっとく)の四者を描いた四睡図である。豊干禅師と虎、寒山、拾得をはじめ、樹木、岩や土坡、雲霞に至るまで、白描の細密な筆が画面全体にいきわたるが、それらは元時代特有の非常に濃淡のコントラストの強い表現になっている。元時代には文人の趣味を反映して白描画が盛んになったが、本図は元時代の白描画の特徴をよく示す佳品である。図上に元時代の禅僧である平石如砥、無夢曇噩、華国子文の題賛がある。平石如砥は東巌浄日の法嗣で至正17年(1357)90歳で歿し、無夢曇噩は元叟行端の法嗣で洪武6年(1373)の歿し、華国子文は竺西懐坦の法嗣で至正11年(1351)に歿していることから、本図は華国子文の歿年である至正11年(1351)以前の作である。