柄端に瓶形の鎮子(ちんす)(おもり)を据えることから、瓶鎮柄香炉と呼ばれる柄香炉。香炉の部分、柄、柄頭(えがしら)の心葉形(しんようけい)金具などその基本的な形状はN-282の獅子鎮柄香炉と同様である。従来、瓶鎮柄香炉は、わが国で平安時代以降に盛行したと考えられてきたが、最近、中国で唐時代の作例が発見され、その源流は大陸に求められるようになった。これにより全体の形制や鎮子が古様をしめす本作の制作時期も遡る可能性もある。
炉内墨書「(花押)」(中央)「(花押)」(炉先端に向って右側)「(花押)」(同じく左側)
炉底墨書「2年6月□」