裙の裾をたくし上げ、足首をのぞかせる特色ある着衣法を示す像である。同種の着衣形式が、開元7年(719)の銘をもつ統一新羅初期の石造弥勒菩薩立像(甘山寺址出土)にもみられ、ともに唐代におけるインド風尊重の傾向を反映して造立されたものと思われる。
本体部は台座蓮肉部までを含むほぼ一鋳で造るが、両手首から先は別鋳とする(本像は昭和7年に盗難されており、その際に右手と付属光背が失われた。それ以前の写真によると、右手は掌を前にして立て、第3・4指を曲げ他指を軽く伸ばすものであったことが知られる)。 蓮肉部のみ内部を中空とし、それより上の本体はムクである。台座反花以下は本体部とは別に一鋳で造るが、同上面の中心に枘穴を設け、ここに蓮肉の下端部を挿し込んで本体部を固定させている。本体部、反花部ともに全体に小さな鬆は認められるが、鋳上がりは良好である。鍍金は頭飾の裏面や頭髪の一部を除くほぼ全面に残るが、彩色は唇にわずかに朱(あるいはベンガラか)が認められるのみである。
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