重要文化財竜鬢筵りゅうびんむしろ

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  • (指定名称)竜鬢筵
  • 1枚
  • 藺製
  • 68.5×69.0
  • 奈良時代・8世紀
  • 東京国立博物館
  • N-53

 現状はほぼ正方形になる藺筵(いむしろ)で、表に4箇所染めた藺草で窠文(かもん)をあらわし、四周には錦の縁をめぐらしている。窠文は黄・淡縹・濃紫で文様をあらわしているが、黄色にみえる部分が麦稈(ばっかん、麦藁)と推測される。現在は褪色や汚れ、欠損もみられ、欠損部には錦の裂をあてて繕っており、大切に使われていたことがうかがわれる。この筵の裏側をみると、中央に近いところで二箇所中継ぎを行なっており、藺草の一番良い部分だけを使い、太さを均一にし、仕上がりをきれいにするための配慮がうかがわれる。
縁の錦は2種類がみられ、いずれも赤地で、浮文になる緯錦であるが、奈良時代の緯錦とは異なり、中世の錦と推測される。藺草の窠文の途中で裁断され、縁が付けられていることから、長い藺筵を切断して縁を付けて現状の形にしたものであろう。縁の錦からみて鎌倉時代頃に行なわれたものと推測される。なお、奈良・法輪寺には、ほぼ正方形になる「竜鬢褥」(重要文化財)が遺っており、赤・緑・縹・紫色に染めた藺草と麦稈(この部分が光ってみえる)を用い、四周に唐草文をめぐらした内部には、中央に樹木を配し、両側には方形内に窠文をあらわしている。染めた藺草と麦稈を使用する点、「竜鬢褥」の裏側でも中継ぎを行なっているところが共通しているものの、法輪寺の「竜鬢褥」の方が文様も複雑で精巧である。

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