聖徳太子伝に関する秘伝や法隆寺の寺誌を記したものである。別に『聖徳太子伝私記』ともいう。13世紀前半に法隆寺の僧侶顕真が上下2巻にまとめ、上巻では師匠隆詮から伝授された法隆寺や聖徳太子伝の秘伝を記し、下巻では聖徳太子の舎人(とねり)調使麻呂に関する秘伝と自らが調使麻呂直系の子孫であることを述べる。N-18は顕真自筆の草稿本で、随所に加筆訂正の跡がみられる。N-19は完成された本より室町時代に写されたもので、その内容は整然としており、N-18とは記事の量や順序に大きな違いがある。現在では上中下3巻に分かれている。