重要文化財蔦細道蒔絵文台硯箱つたのほそみちまきえぶんだいすずりばこ

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  • 田付長兵衛作 (たつけちょうべい)
  • 1具
  • 木製漆塗
  • 文台:幅59.5 奥行35.0 高10.0 硯箱:縦25.2 横22.8 高5.3
  • 江戸時代・17世紀
  • 東京国立博物館
  • H-106

文台の天板上面から硯箱の器表にかけて、蔦(つた)や楓(かえで)の生い茂る山道の様子を描いた文台と硯箱のセット。文様は、金の薄肉(うすにく)高蒔絵に金銀の切金(きりかね)を交えて表わされている。
 ここで画面をよくみると、天板の右下に笈(おい)がぽつんと置かれているのがわかる。そして、さらに細かくみると、笈の上には細長い結び文のようなものが括(くく)りつけられている。
  行きゆきて、駿河の國にいたりぬ。宇津の山に
 いたりて、わが入らむとする道は、いと暗う細き
 に、つたかえでは茂り・・・・・
と始まる『伊勢物語』第9段、宇津山のくだりに題材をえた文様である。江戸蒔絵には、ある場面で主要な役割を果たす人物をあえて描かず、その持物から存在を暗示する「留守文様」が多用されるが、これは、その典型的な画面といえよう。

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