重要文化財色絵花鳥文大深鉢いろえかちょうもんおおふかばち

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  • 伊万里(柿右衛門様式) (いまり(かきえもんようしき))
  • 1口
  • 高21.4口径30.3高台径16.5
  • 江戸時代・17世紀
  • 東京国立博物館
  • G-5101

伊万里焼が西欧にむけて輸出物を焼造しはじめたのは万治2年(1659)からであり、その結果独特の様式美をそなえた色絵磁器が完成された。今は柿右衛門様式として捉えている色絵磁器がそれである。この色絵花鳥文大深鉢はそうした柿右衛門様式の典型作であり、輸出開始ののち、20年ほど経過した1680年代の作と考えられる。
本来は、獅子鈕(ちゅう)をもったゆたかな甲盛りのある共蓋がそなわっていたが、今は失われて、身の部分が伝わり、大深鉢と呼びならわされている。素地は柿右衛門様式独特の乳白色とは若干異なって、ほんのり青味が透明釉に加わっている。文様帯を区切るために染付の界線が引かれており、そのために釉に青味がさしたのであろう。この種の染付下地の類品はすべて釉調を呈している。そして、この素地上に、澄みきった赤・緑・黄・群青(ぐんじょう)・黒のあざやかな釉彩で二方に太湖石に羽根をやすめる2羽の宿禽と二方に枝を伸ばして大輪の花をつける菊と牡丹の図様を図案化して描き込んでいる。余白をたっぷりのこした豊麗な構図は、本歌である中国景徳鎮窯の色絵磁器のそれを手本としながら、はるかに優雅な仕立てであり、ここに中国様式の色絵はすっかり和様化されたといってよい。類品のすべてが西欧に伝世したのに対して、この作品のみは、日本に伝来した。

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