「万秋楽諸説秘集」は、楽人の亮重が唐楽の4大曲のひとつである「万秋楽」に関する秘説を詳しく述べたものである。「万秋楽」は8世紀天平年間にインドの僧、婆羅門僧正と 南ベトナムの僧の仏哲が日本に伝えたとされ、もとは多数あったが途絶えたという。
本書後半には皇帝破陣楽の秘譜を追加し、譜の傍らに鞨鼓や太鼓の拍子などを付している。本文中と末に、建武元年(1334)、同2年の亮重から門弟の禅勝房重有に伝授した旨の奥書がある。
楽は公家にとっての必須教養で、とりわけ代表的な「万秋楽」の秘説を伝える本書は貴重である。
1962.02.02(昭和37.02.02)指定。