重要文化財大唐西域記だいとうさいいきき

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  • (指定名称)紺紙金銀字大唐西域記(中尊寺経)
  • 12巻
  • 紺紙金銀交書
  • 平安時代・12世紀
  • 東京国立博物館
  • B-2441

『大唐西域記』(西域記ともいう)は、唐の玄奘三蔵(600/602-664)によるインドおよび西域の遊歴を太宗の勅によって編纂したもの。わが国にも奈良時代にはすでに伝来し、インド・西域事情を伝える基本文献として珍重され、その影響は言語・文学・本草・香薬・楽道など広い文化領域にわたった。開元18年(730)に完成し、智昇撰の『開元釈教録』に収録され、一切経に加えられた。
この東京国立博物館本は、もと中尊寺に伝来した紺紙金銀字文書一切経中の経巻で、名高い藤原清衡(1056~1128)発願の「一切経(大蔵経)」の一部であり、「中尊寺経」として知られている。天治3年(1126)に創建された中尊寺へ奉納した紺紙金銀交書の一切経で、紺紙に金泥で界線を施し、金泥と銀泥で一行おきに交互に経文を書写している。表紙は紺紙に金銀泥で宝相華唐草文を表わし、見返しは紺紙に金銀泥で釈迦説法図を描いている。「中尊寺経」は、中尊寺金色堂と共に奥州藤原氏の栄華を今に伝える貴重な遺品である。現在、中尊寺には僅かに15巻を残すのみで、大半の4296巻(国宝)は高野山金剛峯寺に伝えられている。また観心寺に166巻(重要文化財)、東京国立博物館に12巻(重要文化財)があり、巷間に散在するものを合せれば、4600巻程度が現存していると考えられる。

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