周文(しゅうぶん)は室町時代中期を代表する画家で、その水墨山水は当時の典型的様式となった。本図も周文の伝称作品として以前から著名なものではあるが、周文の真筆とする確証はない。図上に書かれた賛は、この時期の五山の禅林を代表する名僧、竺雲等連(じくうんとうれん)(1383~1471)が鹿苑僧録在任中に書き付けたものである。賛の年紀、享徳4年(1455)が本図の制作年代の下限となる。
非常に細やかな筆遣いで画面下部に楼閣や橋、人物を微細に描き込み、それと対照的に大きくそびえたつ松と山を画面の右半分に描いて、山の大きさと高さを強調するとともに、視線を上方へと導き、本図の空間を大きく見せる巧みな構成になっている。山本達雄旧蔵品。
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