重要文化財如意輪観音図にょいりんかんのんず

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  • 良全筆 (りょうぜん)
  • 1幅
  • 絹本墨画淡彩
  • 109.6×44.1
  • 南北朝時代・14世紀
  • 東京国立博物館
  • A-12326

良全(りょうぜん)は14世紀に活躍した画家であるが詳しい伝歴はわからない。ただし作品に残された賛などから、乾峯士曇(けんぼうしどん)(1285~1361)および乾峯士曇が住持(じゅうじ)をつとめた京都・東福寺との関係が強かった画人であることがうかがわれる。
この「如意輪観音図」は、上部の樹木は先行する水墨画から取り込んでおり、尊像部分は彩色された如意輪観音像を水墨画に変換したものと思われる。観音の衣や宝冠、連華座などに細やかな金泥文様が施されているが、それらは目立たず、円光の背後にほのかに見える岩を淡墨で描くところや、画面全体が観音を取りまく空間として描かれている点で、本図は水墨技法に通じた良全ならではの作品といえ、14世紀の水墨の仏画としてもっとも成功しているものといえる。画面右下隅に「海西人(かいせいじん)良全筆」の金泥落款がある。

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