牡丹花肖伯(1443~1527)は室町時代の連歌師として活躍。著名な連歌師・宗祗(そうぎ)に古今伝授(こきんでんじゅ)を受け、『新撰莵玖波集(しんせんつくばしゅう)』の撰集も行った。貴族の出で、牡丹と香と酒を愛し、風雅な生活を送ったという。その人柄を偲ばせるようなこの肖像は、肖伯が大永7年4月、数え齢85で没した後に作られた遺像で、その年の7月、建仁寺の常庵龍崇が賛を書いている。常庵龍崇の父、東常緑(とうつねより)も連歌師であった。賛は900字を越える長文で、肖伯が宗祗に学び、風流な人であったと同時にその道に努めて古典の教養も高かったこと、帝の信頼も厚かったことなどが述べられている。