鎌倉時代の武人の宝であった飼馬の薬法を伝えたもの。各図の上片隅に色紙形を画し、その中に人名、薬草名を記す。各色紙形には馬医道の守護神である伯楽、医王法薬、頼公、東群、天、大汝(おおなむら)、王良、幡蓋(はんがい)、神農、越後丹介など、和漢十人をかかげ、その忌日、本地、真言、侍者名を記し、かつその画像にあわせて廐馬図を描いている。ついで薬師草、法薬草、車前(おおばこ)草、木草伝、阿度者崎(あとはざき)、草王、衣草、仏前(ほとけのまえ)、色々、長小草、狸尻巾、馬頭草、甘草伝、阿古免草、伝地草、天衣(てんそ)草、仏座17種の薬草を図示して、その異名も記している。また中国の典拠や奥儀伝授の作法といえる相承附属の作法をも説いている。
描写は、人物、薬草とも描線を主とし、青、緑、朱などの淡彩を施していて、薬草の写生的描法が注目される。
巻末に、「七郎兵衛尉泰相伝之 文永4年<1267>丁卯正月26日甲寅 西阿(花押)」の奥書がある。