左に古今集、後撰和歌集、拾遺和歌集の歌人を、右に後拾遺和歌集、金葉集、詞花集、千載和歌集、新古今和歌集の歌人を配したもので、後鳥羽上皇(1180~1239)が各時代の歌人をとり合わせて歌合を創ったものである。ほんらい150番の歌からなる上下2巻のものであるが、この東京国立博物館本はその上巻、75番からなる。もともと巻子であったものを現在は切り離して画帖形式となっている。
絵は色彩を用いない白描で、面相部が比較的細緻な筆で、体はおおらかな筆線で描かれている。原本は後鳥羽上皇の周辺で、藤原信実に代表される絵師による似絵の手法で作られたものであろうことが、ここからも想像される。時代不同歌合は他にも伝存するが、本作品は鎌倉時代にさかのぼる、しかも上巻を完存する唯一の遺品であり重要である。