国宝袈裟襷文銅鐸けさだすきもんどうたく

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  • (指定名称)袈裟襷文銅鐸
  • 伝香川県出土
  • 1個
  • 弥生時代・前2~前1世紀
  • 東京国立博物館
  • J-37433

 江戸時代に讃岐国(現在の香川県)で発見されたと伝える銅鐸。吊り下げるための鈕(ちゅう)と身からなり、身は上から下へしだいにひろがる扁平な円筒状である。浮き上がった線(突線)で鋸歯(きょし)文、連続渦巻文、綾杉文が表されているほか、身の表裏は斜格子文の帯でそれぞれ6区に分けられ、僧侶の袈裟襷の模様に似ていることから、この名がある。
 きわめて似た銅鐸として、神戸市桜ヶ丘遺跡出土の4号、5号銅鐸、江戸時代の画家、谷文晁(たにぶんちょう)所蔵と伝える銅鐸(拓本と模写だけが残る)があり、いずれにも区切られた中に同様な絵画が描かれている。これらはともに同じ製作集団によって、桜ヶ丘5号、4号銅鐸、谷文晁所蔵銅鐸、本銅鐸の順で鋳造されたと考えられ、数ミリの厚さ、鋳あがりのよさなどに、優れた鋳造技術を見ることができる。
 絵画は、片面に上段からトンボ、イモリ、シカを射る人、工字型の道具を持つ人(糸を紡ぐ人ともいわれる)、高床切妻の建物、竪杵で臼をつく人が、もう片面にカマキリ、クモ、魚を食べるスッポン、魚をくわえたサギ、スッポンとトカゲ、イノシシを狩る人とイヌが描かれ、男性の頭は○、女性は△で描き分けられている。
 弥生時代の農耕社会や生活環境を知るうえで貴重な資料であるが、その解釈についてはさまざまな説があって、銅鐸の用途、埋納の理由とともに現在なお謎が多い。

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