国宝花下遊楽図屏風かかゆうらくずびょうぶ

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  • (指定名称)紙本著色花下遊楽図
  • 狩野長信筆 (かのうながのぶ)
  • 6曲1双
  • 紙本着色
  • 各148.6×355.8
  • 安土桃山~江戸時代・17世紀
  • 東京国立博物館

 右隻は、満開の八重桜の下で貴婦人を中心に酒宴が繰り広げられるさまを、左隻は、花咲く海棠の木の下で八角堂に坐り、風流踊りを眺める貴公子の一団を描く。特に、美しい衣裳を着て腰をひねって踊る姿態は印象的である。刀をもって踊る左隻右側の4人の姿は、流行の阿国歌舞伎を写したものとみられる。
 人物は画面に対して相当大きく表され、爛漫の春を楽しむ人びとの姿そのものに、画家の興味が向けられている。こうした人物への関心が、やがて寛永期の優れた風俗画に引き継がれていく。
 背景には、当時一般的であった金碧を用いず水墨画の技法を生かしていること、両端に巨樹を配して構図を整えていることなど、表現はむしろ古様である。作者は、印章によって、狩野永徳の末弟、長信(1577-1654)と知られ、制作年代は不明であるが、慶長末年から元和初年(1610年代)とする説もある。もと、明治の実業家原六郎の所蔵であったが、修理の最中に関東大震災に見舞われ、右隻中央の2扇が焼失した。

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