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『平治物語』を絵巻としたもの。『平治物語』は、保元の乱(1156年)に戦功のあった源義朝と平清盛との勢力争いに、藤原信頼と藤原通憲(信西)との抗争がからんだ平治の乱(1159年)を叙述する。「六波羅行幸巻」は、内裏に幽閉された二条天皇が脱出を図り、清盛の六波羅邸に逃れる場面。天皇と中宮が乗る牛車の簾をはね上げて中をあらためる武士たち(第1段)、美福門院の御幸(第2段)、馳せ参じる公家衆(第3段)、事態を知って狼狽する信頼(第4段)を描く。人物の集団の大小・疎密、その配置の仕方など動きのある群像表現、きびきびした描線と美しい色彩によって、動乱の緊迫した状況をみごとに描き綴っている。
15世紀中ごろ、比叡山延暦寺の西塔(さいとう)に「保元絵」15巻とともに「平治絵」が秘蔵されていたことが知られ、現存のものはその残巻と見られる。「六波羅行幸巻」は、江戸時代には大名茶人として知られる松江藩主、松平不昧(まつだいらふまい)の所蔵となっていた。
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