重要文化財弘法大師御勘文こうぼうだいしごかんもん

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  • (指定名称)弘法大師御勘文
  • 2巻
  • 紙本墨書 巻子
  • 平安時代・12世紀
  • 奈良国立博物館
  • 1126(書81 B)

 空海(弘法大師、774~835)に関する各種の史料を年代順にまとめた伝記である。
 上巻は、はじめに大宝元年(701)から宝亀4年(773)までの略年代記を記し、そのあと宝亀5年(774)の空海誕生から弘仁4年(813)40歳までを収める。下巻には、弘仁5年(814)から承和2年(835)で入定するまでの記事を掲げ、最後に後太上天皇(淳和天皇)弔空海喪御書や観賢僧都がみた霊異談などを附している。
 こうした空海の伝記は、平安時代から江戸時代まで、実に様々なものが編まれた。本書の成立事情には不明な点が多いが、平安時代に醍醐寺の僧によって著されたものと考えられており、内容は『弘法大師行化記』と呼ばれる別の空海伝(続群書類従に所収)と一致する部分が多い。
 本品の書写年代は、書風からみて平安時代末期と思われ、また文中には平安時代末期の朱墨の仮名やヲコト点(円堂点)などが見られる。空海伝の研究上に重要な史料である。

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