最澄(伝教大師、767~822)の書状6通、最澄の遺言状1通、最澄の弟子である円澄(772~837)の起請1通を写し収めたもの。
書状6通のうち、5通までが空海(弘法大師、774~835)に宛てたもので、経典や儀軌などの借用を依頼したり、弟子への付法を乞う内容になっている。他の1通は愛弟子の泰範に宛てたもので、高雄山寺(現在の神護寺)において空海から灌頂を受けることを勧めている。
巻尾に正応2年(1289)3月18日の奥書があり、本巻が醍醐寺の隆勝(1264~1314)の書写になることを明らかにしている。
『伝教大師求法書等』の古写本としては、本巻は平安時代後期に書写された仁和寺本に次ぐものである。