重要文化財弥勒如来坐像(長崎県鉢形嶺経塚出土)みろくにょらいざぞう(ながさきけんはちがたみねきょうづかしゅつど)

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  • (指定名称)石造弥勒如来坐像
  • 慶因作 (けいいん)
  • 長崎県壱岐郡郷ノ浦町田中触出土
  • 1軀
  • 滑石製 坐像
  • 像高54.3 台座高10.7 台座径40.4
  • 平安時代・延久3年(1071)
  • 奈良国立博物館
  • 958(考263)

 玄界灘に浮ぶ壱岐島の鉢形嶺経塚から出土した、滑石製の丸彫如来形坐像で、像底に長方形の内刳を施して、経巻を納めるように工夫し、像自体を経容器とした類例のない遺品である。右肩から背面腰部にかけて、延久3年(1071)に始まる願文が刻まれ、弥勒如来の出世にそなえて法華経を仏像の胎内に奉籠した旨が記されている。石像は頭部に螺髪〈らほつ〉を刻出し、衣を通肩にまとい法界定印を結び、別製の滑石製の蓮台の上に右足を上に結跏趺坐する。石材の制約上、膝張や膝の出の少ない地方作品ではあるが、全体の肉付は、平安後期前半にふさわしい量感をそなえている。蓮台の蓮肉部上面には九品往生印〈くぼんおうじょういん〉が刻まれ、その中には結縁者の名前が記され、弥勒信仰の複合のさまがうかがわれ、注目される。

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