熊野十二社と阿須賀宮の神宝中には、手箱内の鏡箱に添う鏡と、現状で手箱に伴わない鏡、計18面の小型鏡が伝来する。これらは、白銅質で文様のシャープな鏡群と、灰色味を帯びた銅質で文様表現がやや古様な鏡群に大別される。本鏡は、後者の特徴を持ち、松椿蒔絵手箱(I甲68-19)に納められていた。手箱と鏡箱の意匠や法量を対照すると、本来は両群の鏡が各々に一揃ずつ同意匠の鏡箱に伴っていた状況が復元される。鎌倉時代の意匠性を引き継ぐ14世紀の鏡の基準作として貴重である。
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熊野十二社と阿須賀宮の神宝中には、手箱内の鏡箱に添う鏡と、現状で手箱に伴わない鏡、計18面の小型鏡が伝来する。これらは、白銅質で文様のシャープな鏡群と、灰色味を帯びた銅質で文様表現がやや古様な鏡群に大別される。本鏡は、後者の特徴を持ち、松椿蒔絵手箱(I甲68-19)に納められていた。手箱と鏡箱の意匠や法量を対照すると、本来は両群の鏡が各々に一揃ずつ同意匠の鏡箱に伴っていた状況が復元される。鎌倉時代の意匠性を引き継ぐ14世紀の鏡の基準作として貴重である。
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