口縁が内にすぼまり、肩の部分が張り出し、底が尖ったいわゆる鉄鉢(てっぱつ)形である。木製の挽物でほとんど歪みもなく、形がよく整っている。口縁のすぼまりはあまり極端ではなく、肩の張りも強くなく、底の尖り方も少なく、全体にふくよかな形態である。
全体に下地をかなり厚くほどこし、中塗は2回以上行ない、研ぎを加えた上で、上塗を薄くかけている。上塗の透漆は暗褐色を呈しているが、かなり剥落しているので、褐色の中塗や研ぎ足がみられる。内面は変色が甚しく、艶を失っており、口縁部の剥落箇所から下地が露われている。寺伝では達麿大師の所用という。
100798
0
0