足形付土製品は手形付土製品とともに、縄文時代早期から晩期に北海道から東北地方で出土し、とくに早期と後期に数多くみられる。
本例は薄手の粘土板に二歳ないし三歳程度の幼児の右足を押し当てて作られた足形付土製品である。通例では踵(かかと)側に穿孔があるが、本例は足の内側に二つの穿孔がある稀な例で、裏面には編み物の圧痕が残る。
早期から中期、晩期の事例は土坑出土で、お墓の副葬品としての用途が推測されている。死んだ子どもの形見として、また母など親の死に際して子どもの形見として副葬したと考えられ、縄文時代の親子の愛情や思いやりを伝える土製品である。