左安吉は、銘に「左(さ)」と記す筑前国の刀工、左文字(さもんじ)の子と伝えられる刀工である。安吉には、正平12年(1357)、同17年(1362)の銘を記した作品があり、南朝の年号であることから、南朝の勢力圏にいたと考えられる。左文字は、沸(にえ)の激しい作風から相州正宗の弟子ともいわれているが、安吉の作風は小沸(こにえ)がついた小互の目刃(こぐのめば)の目立つものとなる。『享保名物帳』所載で、美濃国の武将一柳直盛(ひとつやなぎなおもり)が所持していたことからこの名があり、後に前田家に伝来した。
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