重要文化財延暦寺座主円珍伝えんりゃくじざすえんちんでん

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  • 紙本墨書
  • 30.0×1261.1
  • 鎌倉時代・13世紀
  • 東京国立博物館

 天台寺門宗の宗祖であり、第5世天台座主の円珍(814-891)は、讃岐の生まれで空海の甥にあたるという。入唐八家(最澄・空海・常暁・円行・円仁・恵運・円珍・宗叡)の一人。多数の事相や曼荼羅に関する撰述がある。後に円珍系の弟子たちは比叡山を下りて園城寺に拠り、山門派と激しく対立した。諡号は智証大師。
この「延暦寺座主円珍伝」(またの名を「智証大師伝」)は、延暦寺が僧綱所の命により円珍の伝記を国史所に提出するため、弟子が円珍の遺文などから作成した資料を円珍の俗弟子三善清行(847〜918)に託し延喜2年(902)10月に完成させたものである。
 本書は、承久2年(1220)4月25日の加点奥書を有し、曼殊院(最澄が建立し、のち山門派の門跡寺院となる)に伝来したものである。天仁元年(1108)書写になる石山寺本(重要文化財)に次ぐ平安時代末期の古写本で、石山寺本にはない清行の撰定記文と弟子らの作成記文が巻末にある。

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